無花果日誌

つばらつばら暮らせば

丘の上の本屋さん

眠れない日

家族を起こさないよう

タブレット

映画を観た

 

丘の上の本屋さん

古書店の店主リベロ

移民の少年エシエン

 

お金がないから眺めるだけだった

少年に「読み終わったら返しにおいで」と

声をかけた。

 

翌日読み終えて店に来た

エシエンにリベロ

ピノッキオの冒険」を

貸してあげて

翌日もその翌日も

無償で本を貸し出して

感想の交換をする。

 

イソップ寓話集」

「星の王子様」

「白鯨」

シュバイツァー博士」

「アンクルトムの小屋」

「白い牙」

ロビンソン・クルーソー

ドン・キホーテ

「世界人権宣言」

 

すてきなチョイスのブックリスト

最後の一冊は、

「今はわからなくても読んでおきなさい」

と、リベロ

 

最後の一冊を

店に返しに来た時扉には、

「喪中につき閉店」の張り紙。

 

エシエンに手渡された

手紙はリベロから。

 

「本当はちゃんと別れたかったが、

この手紙を読んでるというのは

それができなかった時だろう。

店の本は君が好きなだけ

持ち出せるようにしたから

いくら欲張ってもかまわないよ。」

 

エシエンは唯一の友を亡くした

でもそのかわりに

友は、無上の愛を遺してくれた。

 

リベロが読んでいた

どこかのゴミ箱に捨てられていた

1957年に書かれた誰かの日記帳

労働階級の若い娘

恋人への思いや

雇い主や仕事への不満

恋人が仕事を得た、失った、再出発

毎日一日分

名も知らぬ誰かの日記を読むシーンがある

 

大作家の著した

名作ならたくさん読んだであろうリベロ

1ページ1ページが

誰かの生々しい本物の人生

 

日記は恋人と

アメリカに渡るところで

終わっていて

その先はもう知ることはできない

 

「それでも人生は美しい」

 

真夜中の暇つぶしに

たどり着いた映画

思いがけず

涙があふれ出てしまった。